知り合いがこんなものをくれました。
これはSC-8820というハードシンセ。マルチトラック再生ができるので、これひとつあれば曲が作曲・演奏できてしまうという優れものらしい。とはいえもう十年以上前のものなのでこれをメインでDTMをしている人はだいぶ少なくなっているようです。
これまでMIDIにはまるで縁がなく、いまさら感が半端ないですが、音源を簡単に作れると便利だなと思ったので、趣味として勉強してみることにしました。
今はMIDIキーボードを購入して鍵盤で打ち込むのが主流らしいですが、それに加えて今回は数値入力方式という、MIDIデータをより深く理解できる方式について勉強してみます。
この記事はMIDIを勉強していく過程での、いわば備忘録のようなものです。
MIDIってなんだ?
シンセサイザーを演奏させるための情報で、このデータを送るとシンセが演奏してくれる。
MIDIには様々な情報が含まれている
- トラックごとの音色
- ノート(音程)
- 音の長さ
- 音を切るタイミング
- エフェクトのかけ具合
などなど
音楽だけでなく、MIDIはいろんなところで使われていて、たとえばDAWで使われているフィジカルコントローラーは、制御にMIDIが使われているし照明機器の制御で使うDMXもベースの技術にMIDIが使われている。
MIDIの規格について
MIDI規格については音楽電子事業協会がPDF形式で公開している。まだ読めていないけど・・・
現在のバージョンは1.0。2019年に入ってから新バージョンの2.0策定に向けての話も動いているんだとか。
MIDIのデータ方式にはたくさんの種類があるが、日本国内で音源再生のために使われているのは主に3つ。
- 汎用のGM(General MIDI)
- RolandのGS
- YAMAHAのXG
GSならGS対応の機種同士、XGならXG同士で違う機種でも破綻なくMIDIデータが再生できるようになっている。
GMしか対応していない音源でGSやXG規格のMIDIファイルを再生しようとしても、音色がおかしい・音が鳴らないなどの問題が出てくる。
またGSとXGも相互に互換はないが、ハードによっては隠し機能としてそれなりに再生できるようになっていた。
MIDIの書き方
現在使われている主な入力方式には以下のようなものがある
- リアルタイム入力
- ステップ入力
- 譜面入力
- 数値入力
1.2はMIDI鍵盤を使用する方式。ステップ入力は鍵盤で音程を指定しながらキーボードで音符の長さを決めて入力する。3がマウスでポチポチ入力。4はキーボードを主に使用する。
数値入力の書き方には大きく分けて2種類の書き方が存在する、私が今勉強しているST/GT方式だと以下のような内容を書いていく。
こんな感じで英数字がずらずら並んでいて、それぞれには以下のような意味がある。
・ノート・・・音程
・ST(ステップタイム)・・・音を鳴らすタイミング
・GT(ゲートタイム)・・・鳴らした音を切る時間
・Velocity(0〜127)・・・音の強さ
音程はC3(ドの3オクターブ目)のようにドイツ表記で音程を指定してあげてもいいし、C3=60などのように数値で記入してもよい。
4分音符はSTで48。8分音符なら半分の24、全音符は192になる
GTがなんなのかがちょっとわかりにくいが、GTを短くしていくほど音が伸びなくなってスタッカートみたいな音になっていく。
ノート情報のほかに、途中で楽器やエフェクトなどのパラメーターを変更させるコマンドがあって、それらもMIDIデータの中に記入する。
記入例
たとえば「きらきら星」を演奏させようとした場合はこんな感じのデータになる。
出てくる音はこんな感じになる。
音源について
マルチトラック再生に対応しているシンセサイザーのことを「マルチティンバー音源」という。
かつてこのマルチティンバー音源のスタンダードとして君臨していたのがRoland SC-88Pro(通称ハチプロ)というハード音源。今でもカラオケ音源やフリーBGMなんかではその音を聴くことができる
未だに根強い人気があるのか、アプリ/VSTプラグインとして復活を果たしている。
ハード音源は曲の再生にかかる処理をPCの外でやってくれるので、PCの負担が軽いというメリットがある。
ちなみに私がもらったSC-8820は、ハチプロの後継であるSC-8850の廉価版という立ち位置。小型で、しかもUSBでの接続に対応(ハチプロはシリアルポートとMIDIのみ)。シリアルポート対応のPCを持っていない私にとっては非常にありがたい存在。
現在音源の主流はソフトシンセになっている。マルチティンバー音源ならSampleTankなど。
IK MULTIMEDIA / SampleTank 4
SampleTank 4 は、作曲時「真っ先に起動する」インストゥルメントになるように、開発されました。作曲に必要な音色がそろっているだけでなく、最終的な作品にそのまま使えるクオリティが確保されています。
特定の楽器に特化した音源も数多くある。物理的にあれこれ繋ぐ必要がなく、トラックに自由にアサインできるためソフトウェア音源ではこちらの方が主流のようです。
ユーザーは自分が使いたい音源をあれこれと選んで購入ができるようになっています。
今更でも面白そう
1990年代には非常にホットだったMIDI。成熟した分野であり奥が深く、勉強しがいがありそうです。全盛期だった頃のサイトを見ていると、古代の超技術でも探訪している気分になれます。
DAWとして使っているDigitalPerformerも、MIDI機能がとても有名なのに今までレコーディングでしか使ったことがありませんでした。
これを機に勉強していくつもりです。
次回以降は数値入力用のシーケンサーソフト「Sted2」のセットアップ方法について紹介していきます。