新型MacPro、高いと評判ですね。
私のような貧乏マカーにはおよそ手が出ない価格となってしまったわけですが、いったい何故こうなったのでしょう。 Appleがお金持ちしか相手しなくなったのでしょうか?
この疑問について個人的な考察をしていきます。
まず最大構成にする必要はない
574万円という価格のほとんどを占めるのがメモリ。1.5TBで275万円もします。今のところ、こんなにメモリを必要とする人はほとんどいないのではないでしょうか? メモリを96GBにしてあげるだけで、本体価格は200万円代まで下がります。
常識離れしたオプションがあるせいで、メディアが面白がって取り上げた結果、MacProは高すぎるという話になってしまっているのではないかと思います。
とはいえ200万円でも高すぎるという方もいらっしゃるかもしれません。
確かに個人ユースではちょっと買う気がおきませんね。しかしこの価格、業務用機として考えるとどうなのでしょう?
高いスペックを必要とする映像編集を例にとってWindows機とMacで同じようなスペックにした場合にいくらかかるのか比較をしてみました。
映像編集においてのWindows機との比較
比較内容
ここでは業務用の映像編集機として、Windows機ではGrassvalley社のEDIUS TurnKeyシリーズから「HDWS 4K3」という機種を、MacはMacProとAVID社のMediaComposerを購入した場合とを比較します。
それぞれソフトが異なるのは、ソフトウェアメーカーがハードウェアの安定性についてきちんとテストを行なっている機体同士で比較したかったからです。 (そこまでシビアに安定性を求めないならWindowsで安く組み立てた方が圧倒的に安いです。まあそれは言わなくともですが)
ビデオI/Oなどの仕様が若干異なりますが、そこは見逃してください。まあまあできることは同じですので。
この2者のPCのハードウェア構成を限りなく同じにしたときにいくらかかるのかを示したのが以下の表になります。
MacPro&MediaComposer | EDIUS TurnkeySystem | |
---|---|---|
CPU | 24 CoreXeon | 24 CoreXeon |
メモリ | 96GB | 96GB |
ストレージ | 8TB | 240GB SSD & 6TB HDD (RAID構成) |
グラフィック | Radeon Pro Vega II x 2(各 32GB HBM2メモリ搭載) | 記載なし |
H/W | AVID DNxIQ | 付属 |
Application | MediaComposer (H/W込みで¥574,200) | 付属 |
拡張性 | ○ | × |
サポート | 一年間(+オプション) | 一年間(+オプション) |
価格 | 2,802,000 | ¥3,300,000 |
ベース価格ではありますが、Macの方が安く済んでいることがわかります。
※グラフィックについてEDIUSでは記載がなく、Macの方が有利なようにも見えますが、ソフトウェアレンダー(CPUでエンコード/デコードをする)中心であれば、あまり大きな差にはならないでしょう。
Macならではのメリット
さて、先程の比較ではEDIUS機はメーカーが出している専用機体だったのに、Macの方は普通に市販されている機体を使っていて不公平な比較のように思えます。
でも実はMacの場合、それでも十分に安定性を確保することができるのです。
開発側から見た場合の各々の環境を見てみると、、、
- Windowsの場合 →市販機ではハードウェアに使われているパーツが全然違うので、安定性を確保するためには規格が統一されている専用機を準備する必要がある。
- Macの場合 →年式と型が同じならほぼ同じパーツが使われているため、専用機は必要ない。それに合わせてソフトウェアを開発すれば安定性が確保できる。
この差は大きいです。未だにマルチメディアの世界でMacが重宝されているのは、この部分が大きいのではないかと思います。
高い安定性を確保するため、Macで使われているパーツは厳しい選別を経て組み立てられているという話もあります。
しかもMacの場合は、購入した機体に他の編集アプリを入れても相性問題が起こりにくく、安定性が確保できます。(だってMacに最適化されていればいいだけなのですから。)
結論
× Appleがお金持ちしか相手しなくなった
○ MacProの用途をこれまでとは違い業務用に絞った
個人ユースであればMac miniやiMacで事足りるだろうという考えでやっているのではないかと思います。
業務機として使用するのであれば大体10年は使われます。10年後でも問題なく利用できるように、先を見据えて大容量のメモリが搭載できるオプションや、拡張スロットが設けられていると考えると、納得できます。
でもAppleさん、それならMac miniをもう少し安くしてもらえませんか?
いまだ2011年のMacBookProをメインにしている私ですが、そろそろ新しいMacも欲しい今日この頃です。
参考URL
「Macはなぜ高い」に元Appleエンジニアが神回答 | Geekroid