ダイナミックマイクとはまた違った良さのあるコンデンサーマイク。一本は持っておきたいところですが、高いし扱いが面倒なので、いいものは気軽に買えません。
今回は安価でちょっとくらいラフに扱っても大丈夫なエントリーモデルのコンデンサーマイク、AKG C3000の紹介です。
C3000とSM58を比較しながら特徴を解説していきます。
C3000について
C3000はAKG社(エーケージー:通称アカゲ)が販売するラージダイヤフラムタイプのコンデンサーマイクです。
コストパフォーマンスが良く耐久性が高いため、特にライブなどのコンディションが良くない状況でも気兼ねなく使える一本になっています。
特徴
- 1インチラージダイアフラム
- ローノイズ回路
- -10dBパッドを使用することで最大SPL150dBに対応
- ローカットフィルターを搭載
- 丈夫なダイキャスト筐体
(メーカーサイトより意訳)
外観
マイク本体です。ラージダイアフラムコンデンサーマイクとしては普通の大きさです。そんなに重たくないですが、持った感じはダイキャスト筐体なのでしっかりした印象を受けます。
パッドスイッチです
こちらはローカットフィルターです。アクセスしやすい構造になっています。
付属でついてくるショックマウントです。こちらはプラスティック製で見た目がちょっとチープですが、ホールドもしっかりしていて使用上特に問題ありません。別に購入することも可能ですが、意外に高いので付属品を大切に使いましょう。
仕様
- 指向性:単一指向性
- 周波数特性:20-20kHz
- 最大SPL:150dB (パッド使用時)
- 等価騒音レベル:14dB-A
- 感度:20mV/Pa
- S/N比:80dB-A
- アッテネーションパッド:-10dB
- ローカットフィルター:500Hz (-6dB/oct)
- 出力インピーダンス:200Ω
- 推奨負荷インピーダンス:1kΩ
(メーカーサイトより意訳)
周波数特性
メーカーマニュアルより抜粋
※点線は後方180度からの周波数特性
全体的にフラットな特性で15kHz付近にピークがあります。
指向特性
メーカーマニュアルより抜粋
音の比較
録音環境
- 対象:アコースティックギター
- 使用したDAW:DigitalPerformer10
- オーディオインターフェイス:Apollo Twin DUO
- マイクプリアンプ:オーディオインターフェース内蔵
SM58との比較音源から、C3000の特徴を述べていきます。
Shure SM58は個別の記事がありますので、よければそちらもご覧ください。
レベル以外の編集は一切行っていません。なんとも言えないギターの腕前ですがマイクの違いは分かりますのでご了承ください。(すみません)
音源
SM58
やや高域が詰まりがち。細かいタッチの違いも録れていません。全体的に立ち上がりが遅くダイナミクスに乏しい音になるのはダイアフラムが重たいのが原因。とはいえダイナミックマイクでしたらこんなものでしょう。
C3000(ローカットなし)
単一指向性のため近接効果がもろに発生していて、低域の篭りがひどいですね。でも高域特性と立ち上がりは良くなりました。ダイアフラムが軽いおかげです。弾いた時のタッチがばらついている(=下手)なのがバレますね。録音環境としては一段階良くなった証拠です。
低域のこもりはローカットスイッチで解消します。
C3000(ローカットあり)
かなりスッキリした音になりました。オンマイクの収録の際には、ありがたいスイッチです。低域の篭りが消えた分、さらに高域特性と立ち上がりが良くなりました。曲の終わりのサスティーンもしっかり聞こえますし、弦を押さえ損ねてビビってしまっている部分も聞こえるようになりました。もちろんローカットしない状態から編集してもいいですし、そのあたりは好みでいいと思います。
まとめ
シンプルながら必要な機能が揃っているマイクです。最大SPL150dBだとドラムに使うこともできますし、ローカットフィルターは、ライブでのハウリング回避に大いに役に立ちます。高価格帯のマイクと比較するとレコーディング用途では音質に見劣りがしますが、宅録で演奏動画をアップするくらいの用途でしたらプリアンプ次第で十分なクオリティを出すことが出来ます。
ダイナミックマイクとはまたひと味違う音が欲しい方は是非ご一考ください。