自分の持っているイヤホンやヘッドホンの性能を知りたいと思うことがあります。
これはパソコンのベンチマークテストを意味もなくやってしまうようなもので、私にとっては、これもまた音楽の楽しみ方の一つです。
データを提供してくれているサイトは国内外にたくさんあるのですが、そうではなくやっぱり自分で測定してみたい。
メーカーが使うような本格的な環境は準備できませんが、安価で簡単な測定環境を整えたので紹介します。興味があればどうぞ
ヘッドホンの測定について
そもそもこうした測定を本格的に行うのであれば、
こういうものが必要になります。どれも高価で、メーカーが使うような産業・研究目的の高精度な代物。
そこまでは正直いらない。
バイノーラル録音用のものは安価で小型のものもあるのですが、目的があくまでも録音であって測定ではない。
ということで、これらに似ているそれっぽいものを自作します。
必要なもの
測定用マイク
以前紹介したスピーカーの測定ソフト、REW用に購入したマイクを使います。
REWで使用できる校正用のデータがついてくるため、測定には必須です。
オーディオインターフェイス
パソコンで音を入力・出力させるのに必要になります。今回は手持ちのApolloTwinを使用しますが、測定だけであれば安価なものでも問題ないでしょう。
入力にMicが1chと、ヘッドホンアウトがついているものであればどれでも大丈夫です。
あれば、ヘッドホンアンプ?
より正確にするのであったり、ハイインピーダンスヘッドホンをきちんと駆動させた状態で測定したいのであれば、ヘッドホンアンプを別に準備した方がいいのかもしれません。
私の場合、手持ちのApolloTwinのヘッドホンアウトの駆動力がそこそこあるため使用していません。
耳の形をしているもの
スピーカーと違って、実際に耳に装着した状態を再現しないといけません。
通常は先ほど紹介したバイノーラル録音用のマネキンに、測定用のマイクをつけたものを使うのですが、とても高いので、なんとかして近いものを作らないといけません。
検索すると、安いマネキンの頭を改造してマイクを埋め込んでいる方が結構いましたが、こんなもの家に置こうものなら、妻に何を言われるか分からないので却下。
もう少し小型のものとして、既製品ではこんなものもありますが、マイクが交換できなさそうなので残念ながらボツ。
なにか安いものがないか探していたら、教習用の、シリコン製の耳型を見つけました。
今回はこれを使うことにしました。
製作
耳型を適当な板に取り付けます。耳穴の部分に穴を空けて、マイクが取り付られるようにします。
こんな感じで仕上げました。
まさかのこれで完成です。
ちなみに測定する時はヘッドホンが動かないように手で押さえておく必要があります(笑) 取ってつけた感がハンパないですね。
ペンシルタイプのマイクだと、画像のように無理が出てきてしまいます。測定用じゃなくても、周波数がフラットなピンマイクがあれば、代わりにそれを埋め込んで使ってもいいかもしれません。
そうすれば、ヘアバンドなどでヘッドホンを板に固定できるようになりますので。
まとめ
これで耳で聴く環境を安価に再現することができました。加工が得意な人なら、もっといい感じに仕上げることができるでしょう。
工夫してもっといいものを作ってみてください。
いくつかヘッドホンを測定して、測定データを掲載してくださっているサイトのデータと比較したところ、まずまず近い値が出ることが分かりました。
例えば、Senhheiser HD650の周波数特性を測ったデータを、こちらのサイトの画像と比較してみると、、、
Below the frequency response of the HD650 with old pads Left, Right
DIY-AUDIO-HEAVENより
旧型のパッドを採用しているHD650(私の所有しているものと同じもの)の周波数特性データとのことですが、
高域の減衰の仕方がやや大きいものの、ピークディップの傾向が近いと言うことがわかるかと思います。
減衰幅が大きいのは、おそらく耳型に使われているシリコンが、耳よりも柔らかいため反射が弱いからではないかと考えています。
参考にはならないかもしれませんが、手持ちのヘッドホン・イヤホンについてこれで測定したデータを記事にしていくつもりです。