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ふと、自分の持っているスピーカーを測定しようと思い立ち、いいソフトがないか探しました。REW(Room EQ Wizard)というソフトが有名とのことでしたので、試しにインストールしてみたところ、とても使いやすく、多機能でしたのでご紹介します。
ソフトについて
このソフトは寄付歓迎のフリーソフトです。JAVAアプリケーションなので、WIndows(XP以降)、Mac(10.7.3以降)、Linuxの各OSで利用できます。
REW公式サイトのすぐ下にダウンロードリンクがあります。ご自身の環境にあったものをダウンロードしましょう。
必要な機材
測定用のマイクと、音声入出力のためのインターフェイスが必要です。普通のマイクを使うこともできますが、推奨マイクとしてminiDSP社の UMIK-1(USB接続マイク)と、Dayton Audio EMM-6というマイクが紹介されています。
どちらも個体ごとのキャリブレーション(校正)ファイルが入手できて、値段も1〜1.4万円(2020年7月現在)ほどなので測定マイクとしてはとても安い部類に入ります。
PCのマイク入力やLINE入力を使うこともできますし、UMIK-1ならUSB接続です。色々と測定するのであれば、簡単なオーディオインターフェイスがあった方が良いでしょう。
私はUNIVERSAL AUDIO社のApollo Twinというインターフェイスを使っていますが、測定だけなら安価なものでも十分です(インターフェイス自体の構成もREW側で行うことができます)。
MOTU社のMicrobook IIcは使ったことがありますが、扱いやすくおすすめです。
他にもマイクスタンドなどがあると測定の際に便利です。
ソフトの機能
スピーカーに限らず、音全般の測定ソフトとして十分な機能を備えています。測定できるパラメーターとして、以下のようなものがあります。
SPL-周波数特性
おなじみの周波数特性です。スイープを流した時の、各帯域ごとのレスポンスをグラフにしたものです。
Phase-位相特性
周波数帯域ごとの、原波形に対する遅れを表しているものです。できるだけフラットであることが望ましく、変動が大きいと音質に影響するパラメーターです。
IR-インパルス応答
1波形に対するスピーカーの反応が測定できます。本来、波形は一つなので振動は一回で終わらなければいけませんが、実際のスピーカーでは制動しきれずに図のようにしばらく振動します。できるだけ短時間で収束することが望ましいパラメーターです。
Distortion-歪み率(ひずみりつ)
例えば1kHZの波形を入れたときに2kHz,4kHz,8kHz・・・。と基音のn倍の周波数で共振が起こります。これを高調波歪みといい、図の下でたくさん織り成しているのがそれです。歪み率の項目では基音に対して高調波歪みがどのくらい発生しているか測定することができます。
SPL Meter-音圧メーター
スピーカーから出ている音圧を測定することもできますし、一般的な騒音計としても利用することができます。
他にも
GD-群遅延特性(位相特性の微分)
WaterFall(周波数、位相、インパルス応答の3次元グラフ)
などなど、多岐にわたる測定ができます。
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ソフトのインターフェース
これはMac版のものですがWindows版でも変わらないようです。主要な機能は目立つところにあるので、用語さえ知っていれば簡単に触ることができるようになっています。
最後に
スピーカーだけではなく、DACやオーディオインターフェイスなどの、お手持ちの再生機器の信号を入力して、測定することもできますのでオーディオ機器全般のアナライザーとしての利用が期待できそうです。他のツールでは、フリーで内容がここまで充実しているものは少なかったです。
次回以降、インストール方法や実際の使い方や測定方法などについて掘り下げて触れていくことができたらと思います。
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