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REWでは簡単な操作でインパルスレスポンスを測定することが出来ます。今回はインパルスレスポンスとはなにかということと、REWで測定する方法について書いていきます。
インパルスレスポンスとは?

インパルスレスポンスの測定では、まず図の様な非常に短いパルス信号を入力します。
するとスピーカー出力にはこんな感じの波形が出てきます。
パルスを再生した後に、微振動が発生しています。このような振動は音の抜けを悪くするので少ない方が好ましいです。
インパルスレスポンスの測定では、こうした不要な振動がどのくらい発生しているかを見ることができます。
波形の見方
振動は、ユニット以外が原因で起こることもあります。これは波形の形で判断することができるみたいです。まだまだサンプルを多く集める必要がありますが、今の段階で推測できる2種類の波形について書いておきます。
ユニット自体が振動する場合
まず先ほど紹介した内容です。応答特性が悪いためユニットが振動した後に収束しきれず、揺れてしまっていることが分かります。収束しきれなかった部分は付帯音となって出音の位相に影響を与えます。結果として抜けや定位の悪い音の原因になります。
エンクロージャーが共振している場合
エンクロージャーの共振の場合、波形の形が少し違います。
パルスの直後に波形が盛り上がっています。調べて見るとこうした形の波形がみられるときは、スピーカーのエンクロージャーが共振しているそうです。
インパルス応答が悪く共振も起こっているデータを持っていないので、その場合波形がどうなるかは確認していませんが、おそらく上の2つの波形を重ね合わせたような波形になると考えられます。
インパルスレスポンスに特化しているスピーカー
インパルスレスポンスが優れているスピーカーとして、DENSO TEN(旧 FUJITSU TEN)のECLIPSEシリーズが有名です。
スピーカーユニットの固定方法やエンクロージャーの形を見直して、インパルスレスポンスを徹底的に良くしているスピーカーです。以前視聴したことがありますが、定位感がはっきりしていて音の濁りが少ない印象を受けました。フルレンジユニット一発の割には側が大きいのでサイズがあります。
ちなみにECLIPSEのサイトでは「Sight&Sound」というコラムで音の理論について連載をしています。分かりやすくてとても参考になります。
REWでの見方
ではREWでの解析についてみていきましょう。メニューバーの「Impulse」から見ることができます。「Filterd IR」では、高調波にフィルターをかけることができるみたいですが、私は使っていません。
グラフの変更
REWの初期画面ではこのような画面になっているはずです。これではちょっと見にくいので設定を変えていきます。
画像の赤で囲ってある部分にカーソルを持っていきます。
するとこのような項目がポップアップします。
「dBFS」を「%FS」に変更します。
あとは横軸を拡大すればマイクロ秒単位にすることができます。これでわかりやすくなりました。
設定項目
「Controls」をクリックすると設定項目が出てきます。
・「Plot responses normalized」
測定した値は音圧がまちまちですが、この項目を使うと100%まで自動的に調整してくれます。複数のスピーカーを比較したい時には調整してから比較すると良いでしょう。
・「Show points when zoomed in」:ズームする時に青線で表示されているカーソルを起点にズームしてくれます。0sに合わせておくと便利です。
・「Invert impulse」:波形を反転します。
・「Generate minimum phase」:説明には位相遅れを検出して、部屋鳴りによる影響を除去してくれるとあります。これも使っていません。
・「Estimated IR delay」:時間軸のズレを修正してくれます。これも比較の時には適用しておくと良いでしょう。
まとめ
インパルスレスポンスはあまり取り上げられないパラメーターですが、私は位相特性に並んで重視しています。
PAでの経験上、チューニングの際に位相特性やインパルス応答特性を良くしようと調整すれば、自然に周波数特性も良くなってくる印象があります。なのでイコライザーの使用は一番最後にしています。
ホームオーディオでも抜けの良い音は需要があると思いますし、周波数特性を良くしたけれども音に納得できない方がいらっしゃったら、インパルス特性を調べてみると何かわかるかもしれません。今回の記事が測定の参考になれば幸いです。