記事一覧
REWで測定できるパラメーターを紹介していきます。
今回はあまり馴染みのない項目である、高調波歪(ひずみ)率について解説していきたいと思います。
高調波とは?
みなさんは倍音という言葉をご存知でしょうか?
楽器が音を鳴らすとき、音程の基準となる基音(例えばラの音なら440Hz)の他に、周波数が倍の音(880Hz、1320Hz・・・)が同時に鳴っています。これを倍音と言って、倍音の含まれ方で楽器の音色が決まっています。
シンセサイザーでピアノの音を作るときには、基音に2倍音と3倍音を合成させるとそれらしい音にりますが、これはピアノの音の波形には2倍音と3倍音が多く含まれているためです。
振動するものは割合の違いこそあれ、必ず倍音が発生します。
スピーカーでも例外なく発生し、この倍音の割合の大小を示すのが高調波歪率です。
基準となる音から2nd、3rdと続き、REWでは10次まで測ることができるようです。THD:Total Harmonic Distortionは全高調波率といい、基音に対する全ての高調波の占める割合です。
たまにスピーカーの仕様に記載されていることもあり、私はもっぱらTHDを参考にしています。
高調波が多いと何が起こる?
ひずみが多いということは、それだけ音に影響を及ぼします。余計な付帯音でありますし、発生した倍音は位相の乱れの要因にもなります。
モニタースピーカーのように原音に対する忠実性が求められるスピーカーでは、高調波は少ないことが望ましいです。
具体的に何%なら良いか、私はあまり明確に線引きしていません。ただスピーカーであれば1%前後であればあまり問題にならないでしょう。
また、ひずみ率が急激に悪くなる部分がユニットが再生できる限界です。
REWでの見方
REWでは「Distortion」メニューから以下のようなインターフェイスで見ることができます。
- 各帯域の歪みを表したグラフと、基音に対する高調波の割合が表示されています。
- 各項目は下のチェックボックスを外すことで非表示にすることができます。
- また、グラフをクリックすることで、クリックした帯域のパーセンテージを見ることができます。
スピーカー以外の歪み率について
DACなどの再生機器では0.01%オーダーで低いことが望ましいです。アンプでは出力が大きくなるほど歪み率が悪くなり、THDが0.1%になる点をアンプの最大出力としています。
古い機器では歪みが多くなってくるので、ご自身の機器の状態を把握する目的で、定期的に測定するような使い方もありかと思います。