音声の仕事で使われるメーター類について解説

音声で使われるメーターといえばVUメーターを想像する人が多いかと思いますが、それ以外にもさまざまなメーターが存在していて、使いこなせばとても便利なものばかりです。

人の耳とは繊細なようで、かなりいいかげんなところがあります。

仕事中に音をずーっと聴いていると、頭が飽和してきて、いま自分がどんな感じでミックスしてるのか分からなくなる、なんてことがあります。

そんなときに頼りになるのが、各種メーターの存在です。

この記事では音の仕事で特に必要となるメーター類のお話をさせていただきます。

ピークメーター以外のメーターについてはフリーのプラグインへのリンクを掲載しています。もし使ったことがないメーターがありましたら、一度試してみてください。

ピークメーター 〜クリップを防ぐ〜

ピークメーター
ピークメーター

ピークメーター は原理が最も単純なメーターで、その時々の信号レベルをリアルタイムに表示してくれるメーターです。

音の最大値、ピークは絶対に超えてはいけません。

アナログならちょっと歪む程度で済むこともありましたが、デジタルの場合はクリップした瞬間に盛大なノイズが出てしまいます。何気ない音でも、ピーク成分は思った以上にあります。

十分なマージンを設定していても、クリップぎりぎりになることあります。

意図しないクリップがおきていないか・リミッターがちゃんと機能しているかを監視するために、ピークメーターが必要となります。

ピークメーターの動きが分かれば、どういう音でクリップが起きやすいのか見当がつくようになります。

また、コンプレッサー使用時には、ピーク成分がどのくらい除去されているか分かるので、かかり具合の微調整ができたりします。

DAWや波形編集ソフトを使っているのであれば、標準でついているメーターなので、おなじみですね。針式のものもありますが、画像のようなバーグラフでの表示が一般的です。

VUメーター 〜レベルを見張る〜

ピークメーターで瞬間的な音の大きさが分かる一方、人の耳で聴いた感じとはぜんぜん違う動きをするため、音の大きさを知るためにはこれだけでは不充分です。

人の音量の感じ方は機械よりも反応がゆっくりしている、ということに着目して、ベル研究所によって考案されたのがVUメーターです。これによって実際の聞こえ方にかなり近いモニターができるようになります。

しかしVUもただの機械。完全に耳と同じように振れることはできません。

VUを見て音量を確認するためには、それなりの慣れが必要になります。

でも使いこなせば、音量の確認だけでなく、マイク位置 低域の処理 EQ コンプが適切か、などなど、いろんな情報が読み取れます。

こちらはバーグラフではなく、針式のものが一般的です。

プラグインで手軽にVUメーターに触れることができるようになったのはいいことなのですが、厳密にVUメーターとしての規格を満たしているのかというと、怪しいものが多いのが現状です。

実機のVUメーターとして販売されている商品でさえ、安いものは振れが適当で実用に耐えません。

ヤマキSifamのVUを使った製品は、高価ですが触れ方が全然違いますので、VUに限ってはプラグインではなく実機を使われることをおすすめします。

TOMOCA ( トモカ ) / AMU-2SII

TOMOCA ( トモカ ) / AMU-2SII

コンパクトでリーズナブルなオーディオVUメーター。モニターに便利なヘッドフォンアンプを内蔵。

ベクトルスコープ 〜定位を見る〜

ベクトルスコープ
ベクトルスコープ

定位の具合をモニターするのは、VUやピークメーターでもできますが、より詳細に見たいときにはベクトルスコープが活躍します。

画像はリサージュモードで表示している時。表示の種類はいくつかありますが、センターを中心に定位がどのくらい広がっているかが分かるのがベクトルスコープ です。

左右の広がりが直感的に確認できるようになっていて、ステレオの広がりがどのくらいあるかがわかるのはもちろんのこと、モノラルソースとステレオのバランスも分かります。

例えば、BGMとナレーションのバランスが適切かなども判断することができます。

※「iZotope Ozone imager2」 はフリーソフトですが、アカウント登録が必要です。

スペクトルアナライザー 〜全体を見る〜

スペクトルアナライザー
スペクトルアナライザー

おそらくピークメーター に次いでお馴染みのメーターではないでしょうか。信号レベルを縦軸に、周波数を横軸にとった。とても直感的でわかりやすいものです。

変な帯域がブーストされていないか、あるいは足りていないことはないかを簡単に確認できます。

ラウドネスメーター 〜全体の音量を見る〜

放送局で導入されているラウドネスメーター。原理はけっこう複雑ですが、簡単に言うと、素材全体の音量を計測してくれるものです。

VUだけでモニターしていると、ついつい音量をあげすぎていることがありますが、ラウドネスとあわせて使用することで、全体を通して均一な音量のミックスにすることができます。

まとめ

ミックスはあくまでも耳であわせるのが基本ではありますが、こうしたメーター類を駆使することで、あいまいさを回避して、正確な音作りをすることができるようになります。