Apollo Twinではじめるワンランク上のレコーディング

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  1. 紹介記事 ←現在の記事
  2. 本体とソフトウェアの使い方
  3. 収録方法・プラグインについて
  4. ベース・ドラムの収録
  5. アコースティックギターの収録
  6. ミックスしてみる

自宅での録音、いわゆる「宅録」はすっかり定着しつつあります。

PCを使ったレコーディングも、昔と比べてすっかり敷居が低くなりました。

そんな中、今も昔も変わらない悩みが録音品質

個人的に思う、良い録音のためにお金をかけるべき部分は以下の3つ

  • マイク
  • マイクプリ
  • コンプレッサー

この3つがしっかりしていれば、品質はぐっと良くなります。

Telefunkenのボーカルマイク M80
Telefunkenのボーカルマイク M80

マイクについては宅録だとダイナミックマイクで4,5万円出せばいいものが手に入るようになりました。ノイズの多い宅録環境ではコンデンサより役に立つ場面が多いと思います。

でも困るのがマイクプリとコンプレッサー

LA-2A

どちらも良いものとなると1つで数十万円持っていかれます。

さらに個性があるので、違うキャラクターのものを数種類持っておき、曲に合わせて組み合わせを変えていく必要があります。

そんなの高すぎて買えないし、置くところもない・・・。

そんな時強い味方になってくれるのが、Universal Audioから販売されているオーディオインターフェイスApollo twin

ApolloTwin DUO
ApolloTwin DUO

2in/4outのコンパクトな筐体ながら高品質なマイクプリとエフェクトが使えて、しかも超低レイテンシーで録音ができる。

さらにインターフェイスを持っていればDAWまでついてくる。

そんなApollo Twinを使ったパワフルな録音のご紹介を何回かに分けておこなっていきます。


今回はApollo Twinとは一体どういうインターフェイスなのかを解説していきます。

UNIVERSAL AUDIO ( ユニバーサルオーディオ ) / APOLLO TWIN MKII DUO

デスクトップタイプオーディオインターフェイスに、UAD-2プラグインがリアルタイムで動作するDSPシステムが合体したAPOLLO TWINの次世代モデル。サウンドハウスについては解説記事をご覧ください。
オススメ

Universal Audioについて

海外wiki

Apollo Twinを販売しているUniversal Audio社(以下UA社)は、1958年創業のアナログ機材メーカー。

創業者のBill Putman は「Urei」や「Teletronix」の創業者としても有名。

1176LNやLA-2Aなど、レコーディングの定番ともいえる機材を生み出してきた老舗です。

UADプラグイン

そんなUA社が、SharkというDSP(Digital Signal Processor)を使ってアナログ機材をモデリングしたのが「UADプラグイン」。

ソフトウェアプラグインと比べて、低遅延かつ実機に近い質感を出すことができるハードウェアプラグインをインターフェイスに組み込むのは、最近の製品のトレンドとなっています。

本機のプラグインは、アナログの老舗であるUAのエンジニアが開発をしているので音質については信頼性が高いです。

自社の過去製品だけでなく、Manley、NEVE、SSL、Fairchildなど他社の製品もモデリングしていてその種類はおよそ90種類(2019年2月調べ)

ソフトプラグインと違ってUA社の機材がないと使えない反面、高品位なモデリングを可能としています。

Universal Audioのオーディオインターフェイス

UA社が販売しているオーディオインターフェイスのシリーズが「Apollo」になります。

いずれのモデルもDSPを搭載していて、UADプラグインを利用することができるようになっています。

  • ApolloX・・・同社フラッグシップ機
  • Apollo・・・ひと世代前のフラッグシップ
  • Apollo Twin・・・持ち運び可能なコンパクトApollo
  • Arrow・・・バスパワー駆動のモバイル機

同じシリーズでも、搭載しているDSPの数で値段が異なってきます。

Apollo Twin Mk2の場合、プロッセッサーはSolo,Duo,Quadから選ぶことができます。

UA社のインターフェイス一覧はサウンドハウスで見ることができます。

このほかUADプラグインを使うための専用機器、「UAD」シリーズがあります。こっちはインターフェイスではなく完全な外付けプラグインユニットです。

Apollo Twinの特徴

仕様については代理店であるHookupのサイトがわかりやすいのでご覧ください。(最新版であるMkⅡの仕様になります)

以下に特徴を書きます。

高品質なマイクプリ

アナログの老舗なだけあって、携行機といえどマイクプリはしっかりしています。さらに、「Unison」というマイクプリをモデリングする機能もついているので、これ1つで多彩なキャラのマイクプリを使うことができます。

UADプラグインが利用できる

Apollo TwinにはSharkプロセッサというDSPが搭載されていて、同社が提供しているモデリングエフェクト「UADプラグイン」を利用することができます。

さらにこれらは編集時だけでなくかけ録り、録音しながらエフェクトをかけることもできます。当然この際のレイテンシーも極小です。

1176型コンプレッサーなどの有名なビンテージ機材のモデリングのほか、ギター・ベース用のアンプのシミュレータ。モデリングリバーブなどを、機材を買うよりもはるかに安く仕入れることができます。

ちなみに購入した段階で以下のプラグインについては付属でついてきます。

・UA 610-B Tube Preamp and EQ(マイクプリ)
・Marshall® Plexi Classic Amplifier(ギターアンプ)
・Teletronix LA-2A Classic Leveling Amplifier (リミッタ・コンプレッサー)
・1176SE/LN Classic Limiting Amplifiers (リミッタ・コンプレッサー)
・Pultec Pro Equalizers (イコライザー)
・Precision Mix Rack コレクション(チャンネルストリップ)
・Raw Distortion(ギターディストーション「RAT」のモデリング)
・Ampeg® SVT-VR Classic Bass Amp(ベースアンプモデリング)
・RealVerb Pro(IRリバーブ)

代理店サイトより(2019年2月しらべ)

いずれも実機で揃えようと思ったら結構なお値段になるものばかり・・・

24bit/192kHzでの録音に対応

編集時のエフェクトのかかりを良くするために、録音段階ではできるだけビット深度とサンプルレートを上げる手法が一般的になりました。当然Apollo Twinも対応しています。

Thunderbolt接続による低レイテンシー録音

Apollo TwinはThunderbolt接続でパソコンに接続します。Thunderboltの通信速度は、Gen3(第3世代)で40Gbps。Gen1でも10Gbpsと高速です。

ハイレート・ハイサンプリング録音時でも、DAWでの録音で気になりやすい音の遅れが最小限に抑えられます。

さらにダイレクトモニター機能もありますので、演奏者は違和感なく自分の音をモニターすることができます。

操作しやすいフロントパネル

大きなコントロールノブに、シンプルで    押しやすく設計されているボタン群。多彩なステータス表示で、操作に迷うことはありません。

ApolloTwinのフロントパネル
ApolloTwinのフロントパネル

細かい操作はパソコン側からおこなうこともできます。

付属ソフトと本体の使い方については別の記事にまとめています。

コンパクト

本機は多機能ながらコンパクトに設計されていて、容易に持ち運びができるようになっています。

パソコンとこれさえあれば、高品位なエフェクト群がついた録音環境を低レイテンシーで利用することができるようになります。

無料でDAWが使える

なんと、Universal Audioのインターフェイスを持っていると、LUNAというDAWを無料で使えます。2020年4月より、ダウンロードができるようになりました。

Apolloを使うことを前提に設計されているため、その性能をフルに活かすことができるそうです。これは嬉しいですね。

ちなみに私が持っている初代ApolloTwinでも問題なくインストールできました。

ここがイマイチ

本体がけっこう熱くなる

DSPを積んでいる&ファンレスなので仕方がないですが、夏場なんかはさわれる一歩手前くらいまで熱くなります。あまり空調が効いていないところで使用する時には注意が必要です。

付属のACアダプタが鳴く

そこまで大きくはないですがスイッチングノイズが出るので、マイクの近くに置くのはやめておいた方がいいです。気になるのであれば電圧が同じアダプタを別に用意した方がいいでしょう。

Thunderboltケーブルが別売り

ついてこないものはあるし、変に安いものが付属していてもどうかと思いますが、Thunderboltケーブルは結構高いので、短いものでもつけてくれたら嬉しかったな。と思います。

とはいえ、工夫次第で十分に対策はとれます。デメリットを補って十分に魅力があるインターフェースだと思います。

持ち運びから統合環境として

小チャンネル録音が主となる宅録では、Apollo Twinの良さは存分に発揮されます。

また、携行してスタジオで多チャンネル録音する場合も、UADプラグイン専用機として、マスターレコーダーを支えるサブ機として活躍してくれます。

入門機からのアップグレードに、また、高価なアウトボードに躊躇している方は検討してみてはいかがでしょうか?

UNIVERSAL AUDIO ( ユニバーサルオーディオ ) / APOLLO TWIN MKII DUO

デスクトップタイプオーディオインターフェイスに、UAD-2プラグインがリアルタイムで動作するDSPシステムが合体したAPOLLO TWINの次世代モデル。サウンドハウスについては解説記事をご覧ください。
オススメ

次回からはApollo Twinを実際に使っていきます。

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