リファレンスとして定評があるゼンハイザーの600番台に負けないくらい、500番台のヘッドホンも人気があります。
500シリーズのフラッグシップはHD599。オリジナルは明るいベージュがおなじみのモデルです。
心地よい音と、快適な装着感が特徴です。このシリーズのヘッドホンの特性はどうなっているのでしょうか。
1世代前のHD598を使い、測定データからこのシリーズのヘッドホンの特徴について考察していきます。
製品仕様
型式 : ダイナミック・オープン型
周波数特性 : 12~38,500Hz
インピーダンス : 50Ω
音圧レベル : 112dB
質量 : 約246g(ケーブル重量除く)
接続ケーブル : ケーブル長3.0m(片だし)、
6.3mmステレオ標準プラグ(ストレート型)
付属品 : 3.5mm変換アダプター
その他の機能 : E.A.R.機構ゼンハイザージャパン 商品サイトより
人間工学に基づいたエルゴノミックデザインを取り入れた独自技術『E.A.R.』(Eargonomic Acoustic Refinement)を採用。耳を完全に覆うサーカムオーラル設計を採用し、自然で広い音場と快適な装着感を実現。
インピーダンスが50オームと低く、どの再生機器でも十分に音量を確保することができます。
音質はとても聴きやすく、開放型なので定位も広く感じます。HD650よりローエンドが控えめな印象を受けます。
特性
では測定データから、このヘッドホンの性能を見ていきましょう。
測定環境
- 使用ソフト:REW (Room EQ Wizard)
- オーディオインターフェイス:ApolloTwin(校正済)
- マイク:Dayton Audio EMM-6、ソフト内校正データ適用済み
詳細は測定環境について紹介している記事をご覧ください。
注意事項
- 10kHz以上の高域が低く測定される傾向があります。
- ピークディップ・ペア特性については比較的信頼できると思われます。
- あくまで参考程度にご覧ください。
周波数特性
周波数特性については3-7kHzにかけてピークが見られます。リードやボーカルの高域成分が強調され、定位がぐっと前に出てくる印象になります
少しだけハイ上がりだから低域が控えめに感じるのかもしれません。
15kHzあたりまでペア特性が確保されている傾向はHD650と良く似ています。
位相特性
高域で左右差が生じています。この点は、左右がぴったりなHD650とは違います。
全高調歪率
ひずみ率は全体を通して1%程度となっています。
インパルスレスポンス
インパルスの収束はおおむね1msとなっています。
外観
ヘッドレストは合皮製で、長時間つけていても蒸れにくいです。
イヤーパッドは、ほどよいやわらかさで熱がこもりにくくなっています。厚みがあり、ドライバーと耳に距離があるため、高域がきつくありません。
装着間は文句なし。HD650が、重たくて側圧が強いのに対し、軽量で快適な付け心地です。
ケーブルはストレートの標準的なもの
着脱式のケーブルで、ねじ込み式のミニピンジャックを採用しています。長い間使っていると、接触不良を起こすため注意が必要です。
それと、画像のように付け根の部分が折れてしまいます。
アジャスターも一般的なものです。スライダーの硬さはちょうどいい感じ。
プラグも一般的な金メッキ仕様のものです。
まとめ
- 特性よりも聴き心地を良くすることに重点が置かれているように感じます。
- インピーダンスが低いため、ポータブル機器でも十分な音量が確保できます。
- 装着感が抜群に良いです。いつまででも音楽を聴いていられます。
このシリーズはモニターではなく、生活に密着してくれるヘッドホンだと思います。
聞きやすいように適度にチューニングされた音質に快適な装着感。どんな機器にも繋げられる。いつでもどこでも楽しく使えるヘッドホン。
そういうところが最大の魅力であると言えます。くどいようですが本当に快適ですよ。一度試してみてください。
しかし、オープンタイプのため音漏れします。場所と音量にはくれぐれもご注意ください。