Sennheiser(ゼンハイザー) HD650の周波数・位相特性を測ってみました

ゼンハイザーのHD650、私が解説するまでもなく有名なヘッドホンでしょう。リスニング・モニターと、用途を選ばずに幅広く使える一品です。

新しい機種がどんどん出てきていますが、未だ人気が衰えません。
私もリファレンスとして10年間愛用しています。

ヘッドホン・イヤホンで音楽を聴くのが主流の現在、良いヘッドホンは一つ欲しいところです。

音の良さと定番になった理由について、測定データから考えていきたいと思います。

SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / HD650

あらゆるジャンルとの親和性が高く、クラシックからロックまでオールマイティにこなす優れもの!フィット感も抜群!

サウンドハウスについては解説記事をご覧ください。

オススメ

仕様

型式 : ダイナミック・オープン型
周波数特性 : 10~41,000Hz
インピーダンス : 300Ω
音圧レベル : 103dB
質量 : 約260g (ケーブル重量除く)
接続ケーブル : ケーブル長3.0m(両だし)、
6.3mmステレオ標準プラグ(ストレート型)
付属品 : 3.5mm変換アダプター

公式サイトより引用

ハイインピーダンスなオープン型ヘッドホンです。以前の記事で解説したのですが、インピーダンスが高いヘッドホンは再生環境を選ぶため数が少なく、他にはbeyerdynamicくらいしか扱ってません。

余談ですが、beyerdynamicはサウンドハウスが代理店になってから随分とお値打ち価格になっています。990の600Ωモデルとかが欲しいなあ

特性

測定環境

詳細は測定環境について紹介している記事をご覧ください。

注意事項

  • 10kHz以上の高域が低く測定される傾向があります。
  • ピークディップ・ペア特性については比較的信頼できると思われます。
  • あくまで参考程度にご覧ください。

周波数特性

周波数特性
周波数特性

100-15kHzあたりまでペア特性がしっかり確保できています。100Hz以下もいい感じです。

シングルダイアフラムである以上、ユニットが複数あるスピーカーと比べると、どうしても高域では左右差が出てしまいます。

それでも15kHzあたりまでこれだけ揃っていれば、あまり問題にはならないでしょう。

どうしても周波数特性の揃ったものが欲しい時は、SONYのCD900STなどが候補にあがるでしょう。このサイトで測定記事がありますのでよければご覧ください。

位相特性

位相特性
位相特性

同じデータを開いたのではないかと思ってしまったくらい、きれいに揃っています。

位相は音質面で大きく影響が出るパラメーターの一つですが、ここまできちんと対策しているヘッドホンはそう多くありません。

低域がとてもきれいに鳴る印象がありましたが、こんなところも影響しているのかもしれません。

測定して自分が一番びっくりしました。

全高調ひずみ率

全高調歪率
全高調歪率

全体に渡って1%付近で推移しています。

インパルスレスポンス

インパルスレスポンス
インパルスレスポンス

およそ1msで収束しています。

外観

濃い紺色を基調としたメタリックな色で、がっしりとしたデザインです。

HD650の外観
HD650の外観

イヤーパッドは厚みがあってサイズも大きいので、耳をすっぽり覆ってくれます。側圧はやや強め。

イヤーパッド部分
イヤーパッド部分

装着感はとてもいいですが、密閉性が高いので夏場に長時間付けていると蒸れてしまうのが難点。

左右でケーブルが独立しています。ケーブルがねじれやすく、時々ねじれを取る必要があります。

ケーブル接続部分
ケーブル接続部分

ケーブルは両側から出ていて、付け根の部分でつけ外しできます。断線してしまった時は、純正ケーブルを購入して交換できるようになっています。

プラグはオーソドックスな金メッキプラグ。側面にゼンハイザーのロゴが刻印されています。

プラグ部分
プラグ部分

アジャスターは硬め。10年使ってもへたっていません。

アジャスト機構
アジャスト機構

ケーブル込みの重量は実測で342g。結構な重量があります。

HD650の重量
HD650の重量

特徴

インピーダンスが300Ωと高く、ドライブ能力の高いアンプ(こんなの)が必要になりますが、それさえあれば非常にモニターしやすい音です。

聴き疲れするような音ではなく、低域が厚く迫力があります。でも高域もきちんと聞こえる。定位もいい。

でもオープンタイプなので音漏れは多いです。音量にもよりますが、同室の人にはバッチリ聞こえます。

まとめ

これといった弱点もなく、リファレンスとして文句のない一品です。

しいて言うならちょっと重厚感がありすぎることくらいでしょうか。

音については素晴らしい特性です。際立った位相特性の良さが人気の秘密かもしれません。

しかし、きちんと鳴らすためにはヘッドホンアンプが必要です。インピーダンスが高いので、出力インピーダンスが十分に低いものを準備しないと、音の立ち上がりに支障が出ます。Rupert Neve Designs RNHPなんかが、お手頃でスペックもそこそこなのでおすすめです。

iPhoneなどのポータブル機器につなげて音楽を聴きたい人にはまったく持って向きません。そう言う時はHD 599のような、インピーダンスの低いヘッドホンを選びましょう。

まあ、これをiPhone用に買う人はいないでしょうが、、、

お手軽に楽しむには向きませんが、音楽ライフをちょっと充実させたい。モニター環境をよりよいものにしたい。

そんな要望をかなえてくれる一品です。

SENNHEISER ( ゼンハイザー ) / HD650

あらゆるジャンルとの親和性が高く、クラシックからロックまでオールマイティにこなす優れもの!フィット感も抜群!

サウンドハウスについては解説記事をご覧ください。

オススメ