コンプレッサーって何?仕組みと使い方をフリープラグインを使って紹介

最近の音源ってやたらと音が大きいですよね?家で普通に録音したものをCDにしても、市販の音源よりも音が小さくてがっかりしたことってありませんか?
市販の音源はコンプレッサーというエフェクターで音圧を稼いでいます。

コンプレッサーとは?

コンプレッサーは音量の幅を小さくするためのエフェクターです。

元の音が黒い線のような音量変化をしているのに対して、コンプレッサーをかけた音は音量の変化が緩やかになります。

コンプレッサーの動作

仕組みは非常に単純で、信号がある一定のレベルを超えたら音量を下げるだけです。Compressの言葉通り、音を圧縮するイメージのエフェクターです。

パラメータの説明

  • スレッショルド・・・圧縮を掛け始めるレベル。下げるほど早くかかり始める。

  • レシオ・・・音量を下げる比率 例えば2:1ならば元の音量変化の1/2に圧縮するということ。録音だと2-4:1位で使われていることが多い。

  • アタック・・・スレッショルドを超えてから何秒後に圧縮を掛け始めるかを決める。最速に設定しておけば良さそうに感じますが、実際は100msくらいにしておかないと、音が不自然になりがち。ピークを完全に抑えるのはリミッターの仕事。

  • リリース スレッショルドを下回ってから何秒後に圧縮を解除するかを決める。長すぎたり短すぎると音が不自然になるので、違和感を感じないギリギリのところに設定する。

※ゲインリダクション(コンプがかかっている量)がわかる場合は4〜5dB程度に収めるといい感じになります。

コンプレッサーの役割

聴感補正

生楽器の音の音量の幅はとても広く、100dB近いダイナミクスがあることもあります。生楽器をその場で直接聞く時にはそれでも全く問題ありません。ですが一度録音したものをスピーカーで聴く場合には、元の音よりも小さな音で聴くことの方が多いですよね?そうなると小さな音が聞こえないという問題が出てしまいます。そもそもスピーカーの再生能力が100dB以上のダイナミクスを再生しきれないことも多いです。

100dB近いダイナミクスといっても、そのほとんどはピーク成分です。そこで、聞いて違和感のない程度にコンプレッサーで音量差を30dB程度に抑えてしまいます。こうすると小さな音でも聞こえるようになります。

FMラジオ

FMラジオで使用している変調方式は、音量変化が大きいと帯域を食ってしまいます。音量差を出来るだけ少なくしないと電波を有効利用できないという理由で、ダイナミクスを抑えています。

コンプはかけすぎると音がしょぼくなります。音源側がコンプをかけすぎていると、ラジオ側のコンプと合わさって残念な音になってしまっていることもあります。

誰よりも大きな音にするため

日本では音圧戦争なるものが以前ありました。音が大きく聞こえないと売れないんだとばかりに、CDの限りあるダイナミクスを食いつぶしたミックスがポップスのCDで量産されてしまい、未だにそれが当たり前という風潮が根強く残っています。市販のCDの音がやたらと大きいのはその名残です。

ダイナミクスも音楽の大切な要素だと思うのですが、日本でCDを作るにはダイナミクスを諦めるしかないのが現状です。私はそういう音が大っ嫌いなので早くそういう変な文化が滅びてくれるよう日々祈っています。

エフェクター

純粋にエフェクターとして使われることもあります。ベースのスラップなどによく使われます。

フリープラグインでコンプをかけてみる

では実際にコンプをかけるとどんな風に音が変化するのかを見ていきましょう。今回はフリーのプラグインでどなたでも気軽に実験できるようにしました。

今回使用するプラグイン Rough Rider

Attention Required! | Cloudflare

フリーのコンプは色々あるのですが、パネルのレイアウトがわかりやすいRough Riderというプラグインにしました。Windows、Macともに対応していて、AU、AAX、VSTのいずれでも使うことができます。

パラメーターの説明

Ratio、Attack、Releaseについては先ほど説明した通りです。Ratioが1000とか、えらく大きな値まで設定できるみたいですね。

  • Sensitivity・・・スレッショルドのこと 。Highにするほど深くかかる。今回は最大で設定。
  • Makeup・・・アウトプットゲインのこと。今回は最大で設定。

目盛りがないので正確な数値をお伝えできず申し訳ありません。今回は画像に示した通りの値でコンプをかけています。

どちらの音源もCDの規格に収めることができる最大の音量になっています。音量の違いに注意して聞いてみてください。

コンプレッサーをかける前の音

今回は知り合いのギタリストさんがサンプルを録音させてくださいました。感謝!

波形を見てみると、まだまだ隙間がありますね。

コンプレッサーをかけた後の音

音量が大きくなっていますね。波形も隙間が少なくなって、ピーク成分が抑えられています。同時に抜けが悪くなってしまいました。

うちにあるChannelStrip3というプラグインを使うとこんな感じ。抜けが良いまま音量を稼ぐことができます。こちらは有料のプラグインです。紹介はいずれ。

深くかければかけるほど、音質の悪いコンプは不利になります。質の良いものを使うようにしましょう。

これでも結構深くかけているつもりですが、ポップスのCDなんかは更にがっつりかけています。

まとめ

  • 市販CDに対抗するにはコンプレッサー
  • 音質が悪くなるからできるだけいいもの使う

とまあ、だいぶ端折ったまとめになりましたが、コンプについては少し理解していただけましたか?

音圧を稼ぐには、良質なコンプを一台購入して、じっくり使い方を極めていくと良いでしょう。

実機は高価だし、置くスペースが無いという方はこのサイトで紹介しているUADプラグインのようなモデリングプラグインを使うのもおすすめです。

宅録でもここまで仕上がる!UA社のオーディオインターフェイス ApolloTwin
Apollo Twin を使って音源をミックスしていきます。UA社のApolloTwinだけを使ってどこまで実用的なミックスができるのかを検証しています。あとは最後の仕上げを残すのみとなりました。仕上げの作業にもUADのプラグインが大活躍します。

DAW付属のコンプと比べて数段上のミックスができるようになります。