小規模なライブ向きPAスピーカー ZX1-90Bの特性を見る

フルレンジタイプのコンパクトなPAスピーカーといえばSX300が有名です。

広帯域ながら低域もしっかり出るバランスに優れたスピーカーですが、1発17kgとまあまあ重く、1人の時にもう少しコンパクトなスピーカーがないものかと思うことがありました。

そんな時にぴったりなのが、今私がメインで使用しているスピーカーであるZX1-90Bです

フラットな音で、コンパクトなこのPAスピーカーの特性を紹介していきたいと思います。

ZX1-90Bについて

製造はSX-300も手がけているエレクトロボイス。SXより新しいシリーズとして打ち出されたのがZXシリーズのラインナップです。

大きく異なるのが筐体の形状で、SXのひし形から、曲線を多くした左右非対称の形状へと変化しています。

曲面・左右非対称とすることで定在波の発生を抑える効果が期待できます。

後ろの数字が大きくなるほどサイズが大きくなります。最も大きいモデルがZX5で、今回する紹介するZX-1はシリーズのなかで最もコンパクトなモデルとなります。

仕様

カタログ仕様

・周波数特性(-3 dB)…60 Hz – 20 kHz
・感度…94 dB (1W/1m)
・最大SPL…123 dB
・水平指向角度…90°or 50°
・垂直指向角度…50°or 90°
・最大出力…200W (Cont) 400W (Prog) 800W (Peak)
・低域ユニット…EV8L, 8 in (203mm) Driver
・高域ユニット…DH2005, 1 in. (25.4mm) Exit Compression Driver
・クロスオーバー周波数…1.7 kHz
・インピーダンス…8 Ohms
・最小インピーダンス…6 Ohms
・接続コネクター…Neutrik Speakon NL4
・サイズ(H x W x D)…457mm x 282mm x 264mm (17.98” x 11.12” x 10.38”)
・重量 …8.4 kg

データシートより引用・意訳

8インチウーファー & 1インチドライバーのコンパクトな筐体で、8.4kgと軽くハンドリングしやすいスピーカーです。

能率は94dBと低め。能率の記事で触れていますが、小型のウーファーで低域を出そうとすると能率は低くなります。

最大SPLが123dBとやや物足りませんが、アコースティックメインの音圧が小さめなプログラムなら十分です。

ちなみにグリルを外すとドライバー部分を回転させることができます。メインで使う場合とモニターで使う場合とで指向性を切り替えて使用することができるようになっています。

特性

測定環境

周波数特性

周波数特性
位相特性

1kHz付近で、クロスオーバー由来と思われるディップがありますが、100Hz〜20kHzの区間でほぼ±10dB以内におさまっていて、PAスピーカーとは思えないほどフラットな特性です。

大きなピークがないので、ハウリングや定在波が少なくてセットアップが楽です。

ただ、低域については妥協する必要があります。100Hz以下は期待できないため、ベース・ドラムは別途サブウーファーの増設が必要になります。

サウンドハウスでみる

Electro-Voice ( エレクトロボイス ) / ZX1-Sub

ZX1-Subは、EV世界的標準モデルZX1 シリーズのコンパクト・ハイパワー・サブウーファー・システムです。

位相特性

位相特性
位相特性

位相もきれいに処理されています。周波数と同様 1 kHz付近でピークがあるものの、左右差はありません。

全帯域にわたって左右の差が極小となっています。

応答特性

インパルスレスポンス
インパルスレスポンス

応答特性も問題ありません。軽薄な筐体なのに、鳴きも抑えられています。曲面 + 左右非対称が威力を発揮しています。

全高調波歪率

全高調波歪率
全高調波歪率

90dB出力時に1%前後と、スタジオモニターと比較すると歪みが多いですが、PAスピーカーとしては問題ないレベルではないかと思います。

外観

iPhone5sと比較しても、かなりコンパクトであることがお分りいただけるかと思います。SX300よりもひとまわり以上小さいです。

スピーカー全面
スピーカー全面

特徴的な形の外周部。定在波の発生を抑えることができるほか、転がしでも使えるよう設計されています。

上から見た図
上から見た図
下から見た図
下から見た図
横置きした図
横置きした図

付属の箱が頑丈なので、取手をつけて収納しています。別売りでキャリングバッグもあります。

スピーカーに付属の箱
スピーカーに付属の箱

まとめ

  • 周波数特性はフラット。音質重視
  • 軽量・持ち運びしやすい
  • 低域はサイズなりで妥協が必要

小規模なアコースティックライブのように、音圧より音質を重視したい場面で最適なスピーカーです。

また、これにサブウーファーを追加したり、2対向にすることでさらに色々なシーンへの応用の効く拡張性の高いスピーカーです。

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Electro-Voice ( エレクトロボイス ) / ZX1-Sub

ZX1-Subは、EV世界的標準モデルZX1 シリーズのコンパクト・ハイパワー・サブウーファー・システムです。

一発の音圧と低域を求める場合にはSX-300が最適。

筐体が薄いため、転がしに使うとカブりが多い印象。大音量でモニターする場合はおすすめしません。

重たい機材がしんどくなってきた・もう少し手軽に使えるものが欲しいと考えている方は一度試してみてください。

Electro-Voice ( エレクトロボイス ) / ZX1-90B ペアセット

Electro-Voice ( エレクトロボイス ) / ZX1-90B ペアセット

コンパクトでスタイリッシュなデザインを誇る小型スピーカーの新世代モデル。軽量でどこでも気軽に持ち運びができ、小規模のイベント、ライブにオススメ。

※Amazonではペア販売はされていません